口の働き(口腔の機能)について考えたことはありますか? 私達はごく当たり前のものとして考えがちですが、大きく分けると次の様になります。
① 食べる
② 呼吸をする
③ 発音 発声 会話(表情)
そして、口と言っても、口(口腔)を形成するものはたくさんあって、それらひとつひとつが見事に調和をすることで、口(口腔)としての働き(機能)をするのです。口の中には皆さんが最初に思いつくであろう、歯がありますね。その他にも舌、口唇、頬、口蓋や下顎を動かす為の筋肉や、飲み込む動作に必要な筋肉などの働きも生活していくうえで必要不可欠です。
私達がごく当たり前に行えている口の働き・・・・ご高齢の方、介護の必要な方の場合ではどうでしょうか?日本は今、超高齢社会を迎えています。そんな中、元気な御年寄りの方ももちろんいらっしゃいますが、介護の必要な体力の弱ったご高齢の方々もたくさんいらっしゃるのが現実です。御年寄りというと、みなさん、どういうイメージをお持ちでしょうか?
背中がまるく、しわが多く、痩せている。そんなイメージがすぐに思い浮かぶのではないでしょうか?そんな高齢者特有のイメージが、実は口(口腔)においても当てはまり、影響を与えているのです。そして口の働きが十分に行えていない高齢者がたくさんいらっしゃるということを多くの皆さんに是非知って頂きたいのです。
口の働きが不十分だと、どうなるの?
誤嚥性肺炎をご存知でしょうか?
誤嚥とは食べ物等を口腔内の細菌の塊をあやまって気管の方に送り込んでしまうことをいいます。誤嚥性肺炎とはそのことを原因として起こる肺炎のことです。
食べ物の通り道は口から先は大変やっかいなことに空気の通り道と交差しています。
ですから、口の働きが不十分で、上手に食べ物を食道の方へ送り込めないと誤って空気の通り道である気管あるいは肺に食べ物、飲料を送り込んでしまうことになるのです。
口の働きが不十分な人ってどんな人??
前に少し触れた通り、ご高齢な方は口の働きが十分ではない可能性が非常に高いことが考えられます。 何故でしょうか?
① 咬みあわせ
歯科医院に何度も通う体力も気力も衰え、長い期間義歯を使わなくなってしまった。あるいは合っていない義歯を使い続けている
② 唾液 薬
高齢者は多様なお薬を服用されている場合が多く、お薬の中には唾液の 分泌を抑え、口の中が乾く副作用をもつものがたくさんあります。唾液はお口の中の潤滑油のような働きをしてくれますので、お口の中が乾いてしまうと口の働きが不十分になってしまうのです。
③ 筋力
大半の高齢者は筋力が衰えていらっしゃると思われますが,口腔周囲でもそうであり、舌を上あごに押し付ける力が弱かったり、飲み込む力が弱かったり、また、高齢者特有の背中がまるいことも飲み込みの動作には大変不利な姿勢でもあるのです。